僕の仕事は医療の課題を解決すること。
そのためにいまやるべきことを考え、
デザインと向き合わなければいけない。

小山 敬介keisuke.koyama / designer

日本最大級の医療介護求人サイト『ジョブメドレー』。

メドレー創業期からの屋台骨であるサービスを、たった一人でささえるデザイナーがいる。小山敬介だ。

制作会社でUIデザイナーとして経験を積んだ後、メドレーへジョインした小山。顧客の要望に応えていくデザインから、自社の事業成長を最大化するデザインへ、マインドセットを大きく変化させたというその経験を紐解いていく。

クリエイティブ品質を
追求する環境から、
事業へのコミットを志向するように

小山は大学時代、空間設計を専攻。ミュージアムの企画展を制作する空間デザイナーとして、キャリアをスタートした。そこで自社のWEBサイトのデザインを担当したことをきっかけに、Webデザインに傾倒していきデザイン会社へ転職。

「デザイナーとして求められるレベルの高い環境でした。特に上司のクリエイティブディレクターは優秀で、いくら頑張っても全然追いつける気がしない。3年ほどで転職することも考えましたが、自分に足りていないものがこの場所で学べると思い、気がつくと7年も働いていました」

技術的にはまだまだと思い続けた一方、経験は積み重なっていく。クライアントや案件は違えど、ある程度、経験則で案件に対応できるようになってきた。

「5年目くらいからだったと思います。徐々に同じような仕事をしている感覚が強くなってきたんです。“あのトンマナに、この構成と、知識を組み合わせればいい”というのが大体見えてきた。仕事の進めやすさはある一方、このままで良いのかという焦りが徐々に生まれてきました」

技術的にはまだまだ足りないと思っている。にもかかわらず慣れを感じている——その焦りと不安を振り払うように、小山は副業でスタートアップを手伝うようになる。

「より広範なデザインを、新たな環境で手がければ、デザイナーとしての視点が変わるのではないか」と考えた。不動産マッチングサイトや医療系の画像処理サービスなど、いくつかのサービスを手がけた。無論、UIだけではない。サービスデザインからブランディング、UI、コーディングまで、事業に必要であれば、と様々な仕事を担当した。

「副業を通じて、デザインの可能性を強く感じました。一方で、これまでの美しいスタイリングを追求するデザインだけでは、事業に貢献し、大きな価値を発揮することは難しいという厳しさも学びました。単に納品して終わりではなく、深く事業に関わる環境に行きたい。そう思うようになったんです」

医療情報の課題を強く感じ、
デザインでの解決を考える

転職先を考える上で、小山は真っ先に医療を視野に入れた。

デザイン会社で、医療系のアプリやQAサービスのデザインを立て続けに担当し、難易度の高さややりがいを感じたこと。加えて、環境の変化もあった。

「子どもが生まれたことは特に大きなきっかけになりました。危険な状態で生まれたこともあり、正確な医療情報が欲しかったのに、必要とする情報に巡り会う大変さを体感したんです」

退院する際、助産師やドクターから、育児とはこういうものだという話を聞くも、全員言っていることが異なる。人によっては真逆のことを言っているケースもあった。不安を解消しようと目を通したアプリも、あまり役立つことはなかったという。

「育児や医療に関する情報を探しているときに、間違っていたり迷ったりするような情報があると余計不安になる。そういう状況に衝撃を受けました。自分がこれまで意識していなかった問題を突然意識した瞬間でした。自分と同じように不安を感じる人を増やしてはいけないと思ったんです」

医療情報の課題を強く感じ、面接でもその経験談を語った。「デザインで解決できることならやらなければいけない」という強く思う一方、「この想いがちゃんと伝わるのか」という不安もあったという。

「これまで、周りの誰かにこの想いを伝えたことがなかったので、自分だけが盲進しているような不安もあったんです。ただ、メドレーは僕の考えをはるかに上回る大きな構想の中で、医療を変えようと動いていた。役員はもちろん、デザイナーもエンジニアも、あらゆる領域の人がそれぞれの立場で医療の課題解決に向け本気で取り組んでいる。話を聞いて、素直に驚きました」

社内で医師が働いているのも、その本気度を表していると感じた。外部にアドバイザー的に医師を置く環境はあるが、わざわざ医師を雇い入れる企業は多くない。この環境に、小山は腰を据え挑む覚悟を固めた。

事業において“デザイン”と
名のつくものは全責任を負う

入社と共に、小山は医療介護求人サイト『ジョブメドレー』を任される。

「UIはもちろん、バナーや情報設計等“デザイン”と名の付くものはすべて僕のチェックを入れています」

日々事業規模が拡大し、責任範囲が広がる中では、事業とクリエイティブ品質のバランス感覚が重要だ。

「ひとりでできることは限られます。関わるものすべてを100%に仕上げることは難しい。だからこそ、優先順位づけや効率化がとても重要になります。たとえば、エンジニアだけでもUIが作れるよう、汎用的なデザインパーツを用意したり、営業のニーズに素早く対応するよう、バナーをテンプレート化して、デザイナー以外でもデザインができる環境をつくりました。質を落とさずに成果をだせるよう常に意識しています」

メドレーは2018年9月に移転したが、その新オフィスのデザインにも小山が携わった。小山のファーストキャリアは空間デザインだ。その経験を生かし、今回の新オフィスデザインも、コンセプトからデザインまでを担当。メドレーらしさが表現されたオフィスを追求していった。詳しくは是非ブログを読んでいただきたい。

中長期目線での
デザインの重要性

「環境が変わり、デザインとの向き合い方が大きく変わった」と小山は振り返る。デザイン会社でクオリティを追い求めていた頃とは違う。いまは事業成長のためのクリエイティブを追求しなくてはならない。

「極端な話、前は良いクリエイティブを作れば良かった。デザイン的な解を見つけ、その質をいかに上げるかに全力を注げばよかったのが、今は事業成長にフォーカスしたクリエイティブを都度考えなければいけない。長年やっていると良いクリエイティブを過度に追求する癖が付いていて、その癖を適度なレベルにそぎ落とすのは苦労しました」

中長期でサービスのデザインに携わる中では、細部へのこだわりを追い求めるのではなく、本質を捉えたデザインが求められる。この姿勢は制作会社時代のマインドセットとは大きく異なった。

「事業では中長期の目線で、デザインをしなければいけません。細々したことに一つひとつこだわってしまうと、大きい視点でデザインができなくなってしまいます。僕の仕事は、医療の課題を解決すること。そのために今やるべきことは何かを考え、デザインと向き合わなければいけません」

この視点の変化は、オフタイムの過ごし方にも大きく変化を与えた。これまでは仕事の後にそれほど飲みに行くことはなかったが、メドレーでは関係部署のメンバーと酒の席で親睦を深めるようになった。

「前の会社ではいくら働いても自身が成長している気がせず、とても不安だったんです。上に追いつかなければというプレッシャーを勝手に感じ、息抜きしている余裕なんてないと思っていました。その過剰なまでの自分へのプレッシャーはメドレーに来てから良い意味でなくなり、勉強の仕方も変わりました。飲みの席でデザインの話や事業の話を聞き、得られることも多い。今までの自分が、いかに凝り固まっていたかを知りましたね」

デザインを通し、
医療の未来を作るという想い

事業に対し、ひとりが担う範囲は広い。苦しさもあるが、その分責任も裁量もある。今の状況を楽しめているのは、ひとえに他のメンバーのお陰だと小山は考える。

「僕には、課題解決をするという意味で、同僚はみんなデザイナーに見えるんですよ。その中で僕は絵を描くのが上手い人といった位置づけにいる。だから、自分がバリューを発揮できるところは明確なんです」

自分がバリューを発揮する範囲はいわゆる“デザイン”だけではない。スキルを活かせばさまざまな部分へコミットができるし、それを求められる環境にある。

大企業であれば職務に応じた仕事が渡される。しかしスタートアップではできることは全てやるのが基本だ。その前提で事業と向き合う気概が、メドレーのデザイナーには求められると小山は考える。

「極端にいえば、今までのキャリアを捨てられる位の気持ちが必要だなと思うんです。キャリアを活用するのはいいことですが、そこにこだわり過ぎると活躍できる範疇を狭めてしまう。自分のようなUIデザイナーであっても、メドレーで求められる仕事の幅はとても広い。デザイナーとしてのキャリアを積むのではなく、デザインを通し医療の未来を作ろうとする想いで、事業と向き合い続けたいですね」

interview, edit, write: Kazuyuki Koyama (weaving inc.)
photograph: Shunsuke Imai

interviewed: 2018 Oct.

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