医療のデジタルトランスフォーメーションの意義

医療機器や医薬品の開発などにおいて、医療には世界でも最先端の科学技術が投入され、目覚ましい進歩を遂げています。しかしながらその一方で、他の産業と比較して、インターネットテクノロジーの持つ力を著しく活用できていないという課題も抱えています。

様々な最新の検査機器が開発されても、複数の医療機関でその検査データを共有するような仕組みが進化することはありませんでした。素晴らしい新薬が開発されつづけても、例えば医療機関や調剤薬局での待ち時間が解消するような、医療体験の向上を実現するようなサービスは生まれてきませんでした。既存の医療の仕組みに対して上手にインターネットテクノロジーを追加して活用することができれば、患者にとっても医療従事者にとっても、より生産性の高い医療体験を実現できます。

その実現のためのアプローチの一つとして、メドレーでは医療ITシステムのSaaS (Software as a Service)化に注力しています。例えば、現在国内の診療所における電子カルテの普及率は約35%と言われており、半数以上の医療機関がいまだに紙カルテを利用しています。また、電子カルテについてもそのほとんどがローカルネットワークを活用したオンプレミス型と呼ばれるシステムが中心です。

このような現状では、患者も医療従事者も恩恵を受けられるはずのインターネットテクノロジーを活用することは現実的ではありません。そこでメドレーでは、オンライン診療をはじめとして医療ITシステムのSaaS化に取り組んでいます。
例えば予約システムが電話を受け書き込むものではなくオンラインに接続されていれば、患者はインターネット経由で簡単に空き枠を調べて予約することができ、医療事務にかかる時間も負担も削減されます。処方・調剤情報がクラウド上に保管されていれば、お薬手帳は自動的に生成され、調剤薬局でのお薬手帳に関するやり取りは不要になります。データサイエンスを使えば、いずれは希少疾患の患者の早期発見ができるかもしれません。

少子高齢化や働き方改革、社会保障費の高騰など日本の医療の抱える課題に対して医療ITシステムのSaaS化がもたらす恩恵は計り知れませんが、重要なことは理想論を語ることではなく、実際の医療現場で利用される医療ITシステムの開発とその普及です。私たちはこの変化に要する時間を短縮することが必ず社会にとって大きな価値を生み出すと信じ、その開発と普及に邁進しています。

メドレーはオンライン診療システムへの参入を皮切りに、SaaS事業を開始しました。現在はクラウド診療支援システムとして、予約、オンライン診療、カルテに関する領域でのサービス提供をしています。また、国家戦略特区での取組みや厚生労働省事業の受託など、医療情報システムの実証や技術規格の標準化といった、公益性の高い開発にも積極的に貢献しています。こうした自社開発による取り組みに加え、「MEDLEY DRIVE」というプロジェクトを通じて、既存の医療ITシステムのインターネットテクノロジーの活用を推進するような支援活動も展開しています。

啓発活動
適切なオンライン診療の普及のために、数百名ほどの医師が集うCLINICSサミットの定期的な実施や、全国各地の医師会や学会、地域に根ざした少数名の勉強会などでも積極的に登壇し、適切な情報提供活動に従事しています。


遠隔医療従事者研修の受託運営
2019年1-3月の期間、厚生労働省事業である「遠隔医療従事者研修」を受託し、全国でオンライン診療についての研修を開催しました。

電子処方箋の本格運用に向けた実証事業の受託
厚生労働省事業である本件を受託し、既存のガイドラインと異なる仕組みも含めて、電子処方箋の円滑な運用を可能とする新たなシステムを開発し、2019年2月に東京都港区で実証を行いました。

政府による医療のデジタル活用推進の歴史
  • 1997年12月:厚生省(当時)による遠隔診療の「条件付き解禁通知」
  • 2015年8月:厚生労働省からの事務連絡により遠隔診療が「事実上の解禁」へ
  • 2015年11月:第二回未来投資会議で「遠隔診療の推進」が明言される
  • 2017年4月:第七回未来投資会議で「2018年4月の診療報酬改定で診療を評価」することが明言される
  • 2018年4月: 平成30年度診療報酬改定においてオンライン診療料、オンライン医学管理料、オンライン在宅管理料等の診療報酬が新設
  • 2019年5月: マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする改正健康保険法が成立
Date: JUNE 2019
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