患者さんと向き合える環境を。
「CLINICS」と走り続けた4年の軌跡執行役員/CLINICS事業部長 - 田中大介

オンライン診療システム『CLINICSオンライン診療』。執行役員/CLINICS事業部長・田中大介のメドレーでのキャリアは、このプロダクトとともにあった。
ステークホルダーが多く、法規制とも密接に絡む難易度の高い事業を、田中はローンチ直後から一貫して牽引。入社当初は片手で数えるほどしかいなかったCLINICSチームのメンバーも、現在は100人以上の規模にまで拡大している。その歴史を紐解いていく。

Googleを辞めるつもりは1mmもなかった

田中がメドレーにジョインしたのは2016年4月。当時はCLINICSがリリースされた直後で、代表取締役社長の瀧口が事業部長を兼任、CTOや医師など含め数人の事業部だった。そこに、医者以外では初のビジネスサイドとして参画したのが、Googleでエバンジェリストを務めていた田中だった。

Google時代での仕事を「天職だと感じていて、辞めるつもりは1mmもなかった」と振り返る田中を、メドレーへ突き動かしたのは、CLINICSの存在が大きかった。

「オンライン診療という新しいうねりが起きそうなテーマ、前例がなく法規制も存在する難易度の高い事業領域、医師とエンジニアを中心とした少数精鋭のチーム、急激な成長が予想される組織。この4つの観点から、メドレーへのジョインを決めました」

入社直後に任されたのは、マーケティングの責任者。とはいえ、それにとどまらず戦略から実行までのあらゆる業務を担うこととなる。

「当初、私は顧客の新規獲得のために様々な試行錯誤を続けていました。まだFAXが現役で使われている医療機関が多数存在するなど、まだアナログなオペレーションが色濃く残る業界であるということや、そもそも医療業界のことを理解するのに時間がかかったり、最初は本当に苦労しました。紙のDMづくりから始まり、とにかく自分で手を動かして肌感を掴んでいきました。」

そこから数カ月間は、リード獲得のマーケティング業務と並行し、セールスのメンバーと力を合わせつつ、インサイドセールスやフィールドセールスのオペレーションや組織構築を担当。導入数が伸びた後は、定着率向上のため、カスタマーサクセスチームも立ち上げるなど、組織のひな形作りに奔走した。

翌年には完成したオペレーションに合わせた採用を進め、組織規模を拡大。「規制緩和が進む中、その追い風を逃さないようにしっかり帆を張る意識」を強く持っていたという。組織としての基盤が整う中では、田中が担う役割も徐々に変化していった。

「最初の2年は自分で手を動かし、自分のアイデアと実行力だけが頼りでした。自分がミスすると全部がダメになる。その気概でなんとか生き抜いたのですが、次のフェーズにいくには、自分が手を動かし続けるのではなく、皆で走らなければなりません。2018年にマーケティングからインサイドセールスまで担当する部署を新設し、室長になった頃からチームで成果を出せるような時間の使い方やマインドへ意識的にシフトしていきました」

表裏一体の「難しさ」と「面白さ」

導入数も増え、組織としても拡大を続けるなか、CLINICSの事業部には大きな転機が訪れた。2018年4月の診療報酬改定だ。オンライン診療に対する報酬が正式に新設されるなどの進展も見られたが、一方で一部算定対象にならない疾患があるなど、白熱しすぎた期待に、揺り戻しが起こった部分もあった。

医療という領域ゆえ、法規制によってプロダクトを取り巻く環境は突如変わりかねない。「一時は、事業がなくなるかもしれないという危機感さえあった」というが、事業部はこの変化を受け止めつつ、顧客へのメッセージや組織内のオペレーションを再構築。

ヒアリングや提案も丁寧におこない、規制緩和を見据えた“期待感”ではなく、地に足をつけた売り方にシフトしていった。

また、この年には代表取締役医師を務める豊田が事業部長を兼任。田中とともに、市場環境が大きく変化したCLINICSを、新たな方向へ導くべく邁進していった。

「2018年は、診療報酬改定を受け、お客様に対して説明にまわり、一つひとつに真摯に対応し続けた年でした。ステークホルダーが多いマーケットなので、医師でもある豊田とともに時間をかけて取り組んでいきました。複雑な市場環境であることを理解しつつ、その中での最適解を模索するのは、CLINICS事業ならでは難しさでもあり面白さでもあると思うんです」

第2のプロダクト「電子カルテ」の可能性

この環境変化の少し前から、CLINICS事業では、2つ目のプロダクトの仕込みが始まっていた。2017年後半から構想がはじまったクラウド電子カルテ『CLINICSカルテ』だ。

従来のCLINICSを拡張するかたちでサービス展開する想定で計画され、2018年4月にプレローンチ。徐々にユーザーを伸ばしはじめ、2019年からはオンライン診療と電子カルテの両方を提供する形となった。

一見シナジーの大きいプロダクトに見えるが、その立ち上げは慎重に進めていったという。

「オンライン診療では、わたしたちがパイオニアとしてマーケットをつくってきました。しかし、電子カルテは最後発ともいえるほどに競合がいる市場。戦い方は熟考しました。最終的には、オンライン診療との連動にフォーカス。ふたつのプロダクトの掛け合わせで独自のポジションを築くべく、コミュニケーションを考えていきました」

同時に、電子カルテが加わったことで、CLINICS事業全体がどのような価値を提供するかの再定義にもつながっていった。

「医療機関で働く医師やスタッフが、1秒でも長く患者さんのことを考え、向き合える時間をつくれるように、ITの力を通じてその生産性を高めていく。常にそのことに向き合っていくことこそが、CLINICS事業の存在意義なんだと捉えるようになりました。」

「プロダクト」と「顧客」の双方と向き合う意思

立ち上げから約4年。

市場環境やプロダクトのあり方、そして自身の役割もめまぐるしく変化した。2020年より、CLINICS事業全体の責任者に就任。CLINICSとともに成長した田中はいま、自身の役割を次のように捉えているという。

「事業の進むべき方向を指し示す羅針盤でありつつ、同時に自身でも未来を切り開いていけるような存在でありたいです。メドレーはプロダクトをつくる会社ではあるものの、その提供も担う会社。

そのためには、プロダクトの開発側と、顧客との双方と同じ方向を向いて歩まなければいけません。幸い、わたしたちはそれぞれをつなぐ役割を有し、各々がもつ課題ともしっかりと向き合える立場にいる。その意識の元、医療ヘルスケアの未来をつくっていきたいですね」

Edit,Interview: Kazuyuki Koyama
Text: Kotaro Okada
-
Date: FEB 2020
次の記事

一度は退職して、起業。
それでもメドレーに戻った理由

一覧に戻る

メドレーで働く

jp